ホテル・ニューハンプシャー

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家族のあり方について考えさせられる一冊。

4102273034ホテル・ニューハンプシャー〈上〉
ジョン アーヴィング

新潮社 1989-10
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この小説の主役を演じるのは、夢想家の父親ウィン率いるベリー家だ。長男フランクはホモ、長女フラニーと次男ジョンはインセストな関係にあり、次女リリーは小人症、末っ子エッグは難聴という設定。

彼等全員が、何かしらエキセントリックな性格を持っていて、ややもすると一つも接点がないように見えるのだが、未来の中でしか生きられない父親のケ・セラ・セラな性格が好影響を及ぼし、家族は異様なほどの固い絆を築いていく。

この家族には現実離れした事件や事故が幾度も発生し、その場面は「本気」とも「冗談」ともとれる描写手法が用いられている。全てを真実として生真面目に受け止めると、これほど重い小説はないし、逆に全てがコメディだと思って読むと、これほど読者をバカにした小説はない。

しかし、その辺りの判断を読者の裁量に委ねている点が、この小説に重量を与えているといっても過言ではない。読者によって感じ方が変化するということは、それだけ膨らみがあるということであり、つまり小説における重要なファクターであるところの「想像力」を最大限に引き出す効力を発揮する。

この小説の読後に、「家族」というものの不安定さ、無力さ、力強さ、その他雑多な思慮をめぐらすことになった私は、まんまと著者の思惑に引っかかったとも言える。

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