インターネットと公職選挙法

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自民、民主がHPの選挙情報で火花 公選法めぐり対立 [asahi.com]

インターネット上の選挙情報に関して自民、民主両党が火花を散らしている。自民党は1日、民主党が公示後に選挙情報をホームページ(HP)で流したなどとして、公職選挙法違反の疑いがあると総務省に通報。民主党も「自民党も都議選期間中にHPに選挙記事を掲載した」と文書で反論した。公選法の規定の是非を巡る議論につながる可能性もある。 公選法は、選挙期間中は規定のはがきやビラを除く「文書図画」の配布を禁じている。候補者名や政党名を記したHPの更新などはできない。
インターネットを利用した選挙活動と公職選挙法との関係が大きな話題となっている。この問題、結論から言えば日本のIT後進国ぶりを露呈する恥ずべき事態として認識すべきである。

アメリカや韓国では、ブログやホームページが選挙に自由に活用されているが、日本ではブログやホームページが公職選挙法で頒布や掲示を禁止されている「文書図画」にあたるそうだ。何ともばかげた話である。

総務省の見解では、「選挙期間中にホームページを開設、書き換えすることは、その内容が選挙運動のために使用する文書図画と認められる場合には、公選法第142条の規定に違反する。」ということになるらしい。何とも時代錯誤甚だしいとしか言いいようがない。

そもそも公職選挙法142条が文書図画の頒布を禁止している理由は、資力のある候補者がビラを配りまくることで、資力の無い候補者との間に不平等が生ずるという弊害を取り除くためにある。それならばインターネットこそ、その不平等を埋めるための格好のツールではないか。この条文をたてにとってインターネットの使用を禁止するなんぞ、本末転倒としか言いようが無い。

民主党の枝野幸男議員も「明確な指針・基準が明らかにならないままに選挙の都度、法解釈が変更されるのでは、『公正な選挙』は維持されない」と言っているが、これはまさしくそうである。しかし、今までこの問題を放置してきた国会議員の不作為を棚に上げてこの発言は無いだろうと突っ込みたくなる。

近年、政府の「e-Japan構想」も急速に整備されつつある。私もエンジニア時代にe-Japan関係の仕事をしていたので、ここ数年自治体のIT化がどれだけ進んだかについてはよく理解している。自治体によっては非常に前向きに取り組んでいるところもあり、こちらが感心していたくらいだ。一昔前は、e-Japanを進めることで年配者に不便が生じるなどの、いわゆるデジタルデバイドの問題が取りざたされていた時期があったが、今はその問題も解消されつつある。インターネット利用人口も8000万人を越え、今や電子投票やストリーミングによる選挙演説を実施するためのインフラは整ったといっても過言ではない。日本のIT化の足を引っ張っているのは、技術の遅れでもなければ自治体の怠慢でもない。政府の認識の古さと対応の遅さだ。

2002年に開催された総務省の「IT時代の選挙運動に関する研究会」でも、ホームページによる選挙運動を認めるべきだという報告書が提出されている。あれから3年も経ったのだが、一体何が変わったのだろうか?当の総務省は、今回の選挙で自民・民主のHP更新に対して「許可された文書・図画以外の頒布を禁じた公選法に抵触する恐れが強い」と時代遅れなことを言っている。そのことに問題があるからこそ、3年前に研究会を開催して専門家の意見をまとめたのではないのか?建前だけの研究会は税金の無駄遣いにしかならない。

また、立花隆氏が「メディア ソシオ-ポリティクス」の中で以下のように書いている。

 街のすみずみまでポスターの掲示場を作って、そこを運動員が一つひとつポスターを汗水たらして貼って歩くなどというバカげたことは早くやめるべきだ。その代わり、インターネット空間上に公設の一大ポスター展示場と政見発表場を設けて、そこに、各候補者が自由に入力すれば、何の労力もいらずに、選挙区のスミズミまで情報が届くようにする。
 それとともに、各候補者には、10メガバイトくらいのホームページ開設スペースを与えて、そこを自由に使わせ、書き替え更新も自由にして、選挙運動をサイバースペース中心にしたほうがいいくらいだ。そうすれば、あの日常三次元空間を流して歩く各候補者たちの大型マイクによる選挙騒音の日々から少しでも逃げられるというものだ。
まぁ、現時点では極論に聞こえるかもしれないが、あながち間違った考えではないと思う。いまどき、選挙ポスターは紙の無駄遣いも甚だしいし、選挙カーを走らせてガーガーと騒ぎ立てるのは騒音以外の何者でもない。あんなバカらしい(そして誰も関心を寄せない)選挙活動をするくらいなら、インターネットでの選挙活動というものを、もう少し本気で考え始めるべきである。

そういえば、私は大学の卒論でこの辺りの問題について書いたことを思い出した。「情報通信インフラの整備における公共セクターと民間セクターの役割」という題目で書いた論文の中で、「情報通信のインフラとソフト面でのサービスは今後急速に発達することが予想されるが、それに対して法整備が追いつかないという問題が起きてくるだろう。」というようなことを序文で書いた。もう5年も前のことだ。今まさにこれが現実のものとなり、問題が表面化している。

もう政府の小手先だけの対応では国民は納得しないだろうし、ドッグイヤーと呼ばれるIT業界では「法制化には時間がかかります」という言い訳は通用しない。そしてもちろん、「今回の選挙は急だったので・・」という言い訳も聞きたくはない。

今どきナンセンスな公職選挙法 ネットは解禁でなく義務化せよ
立花隆の「メディア ソシオ-ポリティクス」 [nikkeibp.jp]
http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/050902_gimuka/index.html

IT選挙解禁へ向け議論を深めよ [NIKKEI NET:社説]
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20050826MS3M2600K26082005.html

衆院選:ネット利用で神経戦 自民、民主両党 [MSN-Mainichi INTERACTIVE]
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/senkyo/news/20050902k0000e010068000c.html

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